ハツカネズミと人間|John Steinbeck
この本を読んだのは2回。
1回目は大学生の頃に海外文学にも挑戦してみようと思い、ブックオフでとりあえず薄っぺらい小説を手に取ってきた日。意外と分かりやすくて面白かったなと思った記憶があります。
2回目は30歳手前になってから。10年前には気が付かなかった伏線や発言の意図に深く感動しました。これは間違いなく名作です。
ハツカネズミと人間

ジョン スタインベック(著)
大浦 暁生 (訳)
新潮社
1994年8月10日
本なんて、つまらねえよ。人間には仲間が必要だ――そばにいる仲間が。
あらすじ
アメリカのカリフォルニアを舞台に、ジョージとレニー、二人の渡り労働者と農場での人間模様を追った物語。
小柄だが頭がきれて口がよく回るジョージと、体はでかいが幼児レベルの知能しかないレニー、対極にある2人が農場を転々と渡り歩きます。2人に友情があるのは確かだが、どこか互いに依存してる部分があったり、不安定な関係であることが感じとれます。
以前の農場でくびになった彼らは、また新たな農場へやってきて仕事に励もうと意気込んでいました。
農場の老人、臭い犬、頼れる青年、ボスの息子とビッチな女、黒人の馬屋係。農場を取り巻く人間模様と重大な事件が、将来農場を持つ夢を抱いたジョージとレニーの2人に残酷な現実を突きつけます。
感想
農場内のそれぞれの人間性を引き出しながら世界観を作り出している本書。ずっと農場にいるのに、仕事をしている描写は一切ありません。仕事が終わった後の、労働者たちが飯場で賑やかにしている雰囲気だけで、作品全体の輪郭を作ってます。
一貫して外面描写に徹しているので、人物の思ったことや感じたとった主観的な内面描写はありません。そのため淡々とした筆致にはなりますが、ジョージとレニーの友情や夢への渇望など、農場で働く人々の人間模様が生彩に描かれています。
最期まで読んでわかるこの話の切なさとやるせなさ、ジョージとレニーの不安定だけど確かな友情というのが、読者の胸をしめつけてきます。
- ネタバレあり考察
-
実はとくに重要なシーンが、老犬の臭いに迷惑していた労働者が犬を射殺する場面。周囲の労働者は飼い主の老人に気を遣う素振りを見せますが、どうしようもない状況でした。銃を持って犬を連れだしてから、だいぶ間が経ってから銃声が響くのですが、明記されていないが犬は安楽死ではなく殴られたりしながら最期のとどめに撃たたことが想像できます。
老人は後に「あのイヌは自分で撃てばよかった、よそのやつに撃たせるんじゃなかった」とぼやくのが印象的。
最後のネタバレになってしまうが、この撃たれた老犬はレニーの暗喩で、レニーが引き起こす事件の顛末に非常に重要な意味を持たせていました。ジョージが老人の言葉を忘れていなかったのですね。
私はこの構成の素晴らしさこそ本作最大の見どころだと思います。











