蛇を踏む|川上弘美
芥川賞受賞作で、本が薄くさらっと読み切れそうだったので、軽い気持ちで手に取った本でした。表題作で芥川賞を受賞した「蛇を踏む」は解釈が難しいところもありましたが、概ね面白く読めました。
しかし文庫本に収録されていた「消える」「惜夜記」はとても読みにくいですね。とくに「惜夜記(あたらよき)」は、非常に難解で、どうしても読み切ることができませんでした。
蛇を踏む

川上弘美
社名
2010年10月20日
よくわからないけどね、しょわなくていいものをわざわざしょうことはないでしょ
あらすじ
職場の数珠屋「カナカナ堂」へ向かう途中、公園で蛇を踏んでしまい、その蛇は「踏まれたらおしまいですね」と言い、人間の姿に化けてヒワ子の家の方角へ消えていきました。
部屋に帰ると昼間の蛇が50歳くらいの女に化けて夕飯を作っています。蛇はヒワ子の好きなご飯も、使うべき食器も、ビールにつぎ足されるのが嫌いなことも全て把握しているのです。
蛇にあなたは何者なのかと尋ねると「ヒワ子ちゃんのお母さんよ」と返答。心配になって本当の母である実家に電話をかけてもいつも通りのやり取りがあっただけで、母と名乗る蛇が何者なのかはわからずじまいでした。
翌日カナカナ堂に出勤するとコスガさんに蛇は追い出しなさいよと忠告されます。
感想
あり得ないことが当たり前のように起こって、当然のようにそれを受け入れる幻想譚のようでした。
主人公のヒワ子は不器用な性格で、とくに人付き合いは苦手です。前職は教師として生徒に余計な気をまわして自ら消耗して退職したこと、人の話を聞きながら食事ができないこと、コーヒーはコスガの奥さんじゃないと淹れてはいけないと思い込むところ。このどうしようもなく世渡りが下手なところが、蛇につけいれられてるようにも見えてしまいます。
不器用で周囲との付き合いが難しいヒワ子、親とも疎遠とは言わぬまでも仲が良いわけでもない。対人関係における適切な距離感をつかめないヒワ子にとって、彼女が蛇に感じた「壁を感じない親密さ」はまさに願ってもないものなのかもしれません。











