100万分の1回のねこ|13名の作家
1977年に刊行されて以来読み継がれている、ロングセラーの絵本「百万回生きたねこ」を読んだことがあるでしょうか。
王様、泥棒、孤独なおばあさん、どの飼い主も好きになれなかったトラ猫が100万回死んで100万回生きるお話です。
「100万分の1回のねこ」は、この絵本の内容を下地にしてるような話もあれば、全然関係ないけど絵本の趣旨やタイトルを絡ませているような話もありました。登場する猫はだいたいどの話においても、奔放で、自分勝手なところがあったり、気分屋なところがあったり。猫の猫らしさがそれぞれの作家によって表現されています。
100万分の1回のねこ

アンソロジー(作家13名)
講談社
2015年7月16日
まだ、わからないのか。それしかないからだよ。それだって、自分の荒野である以上、売ったら後悔するんだよ。いいかげんにわかれ。
あらすじ
本書から町田康の短編を紹介します。話が分かりやすく、面白みがあって、教訓もあるので、誰にとってもおすすめ。
あるギター弾きの男が、金がなく腹を空かせていました。ギターの腕は評判でしたが、人付き合いが苦手で仕事をもらえず、ずっと貧乏生活をしています。なんとか食いつないでいたが、とうとう一文無しに。家賃は滞納してるし、ギターもとうに売ってしまった。
貧窮した彼はある男にそのギターの才能を100万円で売ってしまうのでした。文字通り才能を売ってしまった彼は、ギターを買い戻してからまったく思うように弾けなくなったことに気が付き後悔します。
感想
この短編集の趣旨は、絵本『100万回生きたねこ』と佐野洋子さんに愛をこめて。この素晴らしい絵本を礼讃するトリビュート短編集となっています。
絵本の内容を知らなくても十分楽しめますが、江國香織さんや山田詠美さんの短編は知っていた方がより楽しめるかと思います。
あらすじ紹介した町田康さんの「百万円もらった男」は、教訓たっぷりの内容で、最後の結論まで心に刺さる名言たっぷりでした。
彼は本来自分のものであったはずの才能を、収穫する前に畑ごと売り払ってしまったようなもの。買い戻そうったって、これからも収穫のあがる畑を誰も手放すわけがありません。才能の畑をなくした彼にはもはや不毛の荒野しか残っていません。それでも種を蒔き、水をやって、一所懸命に生きていくしかないのでした。
何かの才能があろうがなかろうが、これからの人生を強く生きていく勇気をもらえる話です。











