ヴェニスの商人|William Shakespeare
シェイクスピアの四大悲劇はとくに有名ですが、喜劇を読むのは「ヴェニスの商人」が初めてでした。
本作は、ユダヤ人のシャイロックを最終的に追い詰めていく展開から、作品全体が反ユダヤ的であるとして批判され、裁判の場で問題とされたこともあります。
ヴェニスの商人

William Shakespeare(著)
福田恆存(訳)
新潮社
1967年11月1日
友人の結婚費用のために莫大な借金をした商人
舞台は水の都イタリアのヴェニス(ヴェネツィア)とベルモント(架空の都市)における、貿易商(アントーニオー)と金貸業(シャイロック)の2人を巡る物語。
貿易商のアントーニオーは親友から結婚費用を貸してほしいと頼まれるが、彼の財産のほとんどは航海中の船にあって貸せるだけの金はありません。親友の頼みとあらば、強欲で高利貸しといわれるユダヤ人、シャイロックに頼るほかありませんでした。
シャイロックがアントーニオーに提示した条件は、実質命と引き換えの契約でしたがアントーニオーは承諾します。しかし彼の貿易船が難破したと連絡が入り、金を返すあてがなくなってきたのです。
考察
古い作品なので時代背景や設定を知っておいたほうがより理解も深まるでしょう。まずこの当時におけるユダヤ人の立場を明確にします。
作中舞台はイタリアですがシェイクスピアはイギリスの作家です。当時イギリスではユダヤ人は排斥対象とされており、実はシェイクスピア自身もユダヤ人を知らずにイメージだけでここまでのユダヤ排斥を作品に落とし込んだのではと言われています。
つまり作中のキリスト教徒であるアントーニオーにとってシャイロックは忌避すべき対象で、シャイロックにとってはキリスト教徒であり商売の邪魔をしてくるアントーニオーは目の敵だったわけです。
キリスト教では利子をとることがよくないこととされており、そのために金貸業で栄えたユダヤ人はイギリス人の反感を買い、迫害された後に国から追放され、イギリスからユダヤ人が姿を消す数百年の空白期間がありました。ただしユダヤ人は進んで金貸業を選んでいたのではなく、仕事がそれしかなかったという状況からの結果です。












