エッセイ

時をかけるゆとり|朝井リョウ

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三省堂書店で文庫にカバーをかけて、本のタイトルが分からないように販売してる企画がありました。買ってから袋を開けるまで中身がわからないので、偏見や先入観なく普段なら選ばないような本に出会えるかもしれません。

中身のヒントで書店員の一言だけ書かれており、私が選んだ本は「とにかく笑える本」でした。

タイトルは朝井リョウ『時をかけるゆとり』です。同シリーズで続巻「風と共にゆとりぬ」「そして誰もゆとらなくなった」とゆとり三部作があります。

ゆとり三部作

時をかけるゆとり

著者

朝井リョウ

出版

文藝春秋

刊行日

2014年12月4日

概要

本書のエッセイから1編紹介します。

モデル(ケース)を体験する

大学1年生の上京したてのお上りさんだった著者は、カットモデルを探しているという友人の言葉に飛びつきました。しかし美容師の上司がチェックしていること、ストップウォッチで時間を図る人や、なにやらメモを取る人など、現場の空気はピリピリしていました。

カットが終わってチェックするとき。上司の一言「バランス考えた?この子顔のフォルム長めでしょう」 さらに「後頭部に欠損あるじゃんか」と追い打ち。上司が美容師に指摘するたびに、面長や部分ハゲなど、モデルとなっている自分のネガティブポイントがどんどん掘り起こされていきます。

無料カットや東京クオリティの技術を受けられるおいしい話だと飛びつくのは甘かった。プロ試験を控えた美容師のカットモデルをするということは相応の覚悟も必要なのです。

感想

浅井リョウの二十歳前後のできごとを綴ったエッセイ集。年代的にゆとり世代にあたる著者の赤裸々な話です。構成は主に学生時代のエッセイが20篇。元は「学生時代にやらなくてもいい20のこと」の単行本があり、これに社会人となってからのエッセイを3篇追加し、改題して筒井康隆の「時をかける少女」のパロディタイトル「時をかけるゆとり」となっています。

朝井リョウさんの本はいくつか読んだことありましたが、このエッセイを読むと作者の印象が大きく変わりました。若くして大きな文学賞を受賞した経歴や、作風からも、なんとなくクールでニヒルな印象を抱いていました。実はとてもユーモアあふれる楽しいかたなんですね。

そして朝井リョウさんならではの特徴ですが、よく観察あるいは記録された文章が綴られています。普通に過ごしていたら見過ごしてしまうような日常の発見や面白さをしっかりとすくって、面白おかしく文章として成立させる筆力がプロですね。さらに作家は書くだけではありません。多くの人生経験が作品に奥行きをもたらすのでしょうが、彼にもとにかく経験をしようという貪欲さが表れているようでした。

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