神様がうそをつく。
bunsosha-novels1940
文装舎
ここに本を手に取ったきっかけ、出会い、エピソード、悩みや考えなどを簡潔にまとめる。

筒井哲也
集英社
2012年4月10日
全3巻
スピンオフ作品あり
自尊心を奪うやつが許せない。それは街ですれ違う視線、給湯室から聞こえる会話、給料明細のよく分からない項目、偉そうな態度で職質をかける警察官など、社会のどこにでも隠れている。
動画サイトにて新聞紙を頭に被った男が犯行予告をアップロードしました。後日その予告は実行され、その後も新聞紙男による同様の犯行予告が繰り返されます。
警視庁サイバー犯罪対策課は新聞紙男の正体や動機を探るべく本格的に捜査を開始。
新聞紙男が犯行を行う対象はいつも何かしらの悪人への制裁という形をとっており、ネット上では新聞紙男を支持する層が増えてきます。新聞紙男の犯行予告と悪人への制裁は社会現象へと発展し、カリスマ的存在へとなっていきます。
三巻完結と短いながらも非常に綺麗にまとまった漫画でした。新聞紙男の正体、動機、目的、すべてが明らかになった上、最後まで警察も世論も新聞紙男の策の上に転がされます。
犯罪とはいえ世の中の悪人に制裁を与えてだんだんと大衆に支持されていく復讐劇のような構成もすっきりしていいですね。警察から逃れるアリバイ対策もしっかりしており、もはや世間ではダークヒーローのようなカリスマ性を持っていきます。
特に前半は新聞紙男の正体が読者にもわからないうち、どこまでが彼の計算なのか底が見えない筋書きも読んでいて面白いです。そして後半の新聞紙男が生まれる経緯に至った壮絶な過去、犯罪を共有して築き上げた歪んだ仲間たち。
新聞男の根底には社会のすべての搾取される側の人間を救いたい、彼らにも自尊心が必要不可欠でそれがないのは生きている状況とは言えない語られます。