2024-09-22

【すごい左利き】なぜ一般的に左利きがすごいと言われるのか

著者出版
加藤俊徳ダイヤモンド社:2021/09/28

脳内科医・医学博士・加藤プラチナクリニック院長・株式会社「脳の学校」代表
世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)」法を発見。

概要

左利きは天才ではなく、右利きとは異なる脳の使い方によって、同じ経験から感じることとアウトプットする内容も変わるため、大多数とは発想が違うということになる。また、右利きに比べて脳の左右差が少ない傾向にある。右利き中心の世界で快適に生きるための試行錯誤を繰り返してきたため、脳のバランスが良い。

著者独自の見解「脳番地」によって8つの仕組みを定義。

  1. 思考系
  2. 感情系
  3. 伝達系
  4. 運動系
  5. 聴覚系
  6. 視覚系
  7. 理解系
  8. 記憶系

それぞれが独立してるというより、一つの動作に対して相互連携して働きかけている。

同じ細胞でも役割は異なり、感情系でも左脳は自分の感情や意思を作り、右脳では他人の感情を読み取る働きをする。要するに左脳は言語系情報処理、右脳は非言語系情報認識を得意としている。

しかし運動系は左右対称の働きで、利き手と反対側の脳がよく発達する傾向にある。

多くの左利きは右利きの人より、脳をバランスよく使うために左脳がつかさどる言語処理へのルートが少し遠回りになる。つまり言いたいことのイメージは先行するけど、言葉がつながってこないという現象が起こりやすい。

右利きの両親からは9.5%、左利きの片親からは19.5%、左利きの両親からは26.1%で左利きが遺伝する。しかし、利き手を決定づける遺伝子はまだ見つかっていない。現段階では遺伝に加えて、生後の環境の影響があると考えられている。

直感に優れて人生が好転する

直感は単なる衝動ではなく、無意識下の膨大な脳の情報ベースから導き出している結論と考えられる。しばしば論理的結論より良い結果をもたらす場合がある。

これは論理的思考をベースにしたAIにも真似できない人間ならではの強みだ。

左利きの多くは情報のイメージ保存がデフォルト。浮かんだことを意識的に右脳から左脳に移して、あえて言語化することで直感を形にして残すことができるようになる。左利きならメモを持ち歩くことをすすめる。

豊かなアイデアと独創性

左利きは目で捉えた情報をイメージで記憶する傾向にある。左脳で理論的にとらえると情報サイズは小さいが、右脳でイメージ情報でとらえるとサイズが大きい。情報量が多くなるので、既成の枠に収まらない発想に繋げられる。

これを有用なものにするには、イメージ記憶情報を左脳に移して言語化する意識をもつこと。

コピーライト分野でも論理的な文章は右利きのほうが得意だが、左利きはイメージを一言で表すような独創的な言葉を生み出すポテンシャルを秘めている。

ワンクッション思考

はじめはゆっくり理解するけど、コツをつかむと爆発的な応用力をつけるのがワンクッション思考。

右脳と左脳をつなぐ神経線維の太い束「脳梁」を介して頻繁に行き来する脳の使い方が影響してる(右利きは左脳を多く使い右脳を眠らせてることが多い)

つまり両脳を刺激する機会に恵まれた左利きは脳を強くしている。

また、左利きはアウトプット速度が遅い。それは並列情報である右脳を介して左脳にアクセスする特性だからで、ワンクッションのラグが生じる。だから脳の瞬発力がないと悩む人も多い。これを解決するには脳の視覚系脳番地を鍛えること。

言葉を耳から聞いて行動に移す力と、その場の状況を目で見てから動く力の2つの脳の瞬発力がある。言葉は最後まで聞かないとすぐに動けないが、視覚情報であれば瞬時に対応できる。具体的にいえば、とにかくしっかりと見て観察する力を意識する。表情と顔色やしぐさ、道の途中の綺麗なものの発見、普段しない行動から得られる新しい体験などを、視覚系情報と結びつける。

この鍛え方を応用して「見て真似させる」という行為が左利きの人の成長速度を高める。

最強の左利き

左利きはもっと積極的に右手を使ってみてもいい。

左脳を刺激して物事を対比して考える力を養えるようになる。また人間は不自由な環境にあるほど創意工夫をこらして能力を伸ばす傾向にある。

左利きの特性から両方の脳を活用しやすいというのが大きなアドバンテージである。

感想・書評

まとめると右利きの左脳は言葉や計算、論理的・分析的思考による直列思考が得意。左利きの右脳は様々な情報が同様に浮かんでいる並列思考の脳。

左利きの人が左脳を鍛えるにはToDoリスト作成、日記をつける、ラジオを聴く、ブログやSNSで発信するといった言語化につながる活動が有効です。

外国語の勉強は左脳を成長させる最も効果的な方法です。単語の意味を覚えるために記憶系、感情系と思考系で文章をつくり、運動系を用いて書いたり話したりする。伝えたいことを整理するために伝達系も活用します。脳番地をフル活用できますね。

私は基本的に左利きですが、ものによって右利きのものも多く、こういった人を分利きと呼ぶそうです。あるいはクロスドミナンスなんてかっこいい呼び名もあったり。

本書から読み解くに左利きの人が積極的に右手(左脳)も活用すると、より優れた能力を発揮できるようになるとのことでした。現状の分利きであるアドバンテージをいかして、両利きを目指していきたいものですね。

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