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肉体改造のピラミッド栄養編|Eric Helms

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食事や栄養に関する情報は、テレビやネットで膨大に発信されており、中には根拠が乏しい「○○を食べるだけダイエット」など、くだらないものも多いです。

とりわけトレーニーにとって食事はトレーニングと同等に重要なです。感覚や流行に左右されず、信頼できる情報に基づいて食事を管理する必要があります。

本書は筋量を伸ばしつつ体脂肪を落とすための栄養管理について、重要度に応じたピラミッド構造で網羅的にまとめた一冊です。

THE MUSCLE & STRENGTH PYRAMID

肉体改造のピラミッド 栄養編

著者

Eric Helms(著)
Andy Morgan(著)
八百 健吾(訳)

出版

AthleteBody株式会社

刊行日

2021年6月9日

個別の食品、小手先のテクニック、話題のサプリ、特定のメソッド、から入るのではなく、もっと土台にある重要項目から順に考えることが本書の思想です。

本書導入

概要

単なる栄養学の知識や特定のダイエット法ではなく、「個人の目標に合った計画を立て、それをいかに無理なく個人のライフスタイルに落とし込んで継続するか」を最大のテーマとしています。

食事管理を成功させるための「心構え」と「具体的なツール」について、以下のポイントが解説されていました。

  1. 食事管理を長く続けられる一貫性と柔軟性
  2. 食事制限に対する白黒思考からの脱却
  3. 客観的に正しいデータの計測
  4. 健康的な食生活ができ、体脂肪をコントロールできる食習慣

大切なことは完璧さよりも「継続できる柔軟なマインド」です。

数字管理と習慣づくり

栄養管理を生活にどう落とし込むか、数字管理をどこまで追い、そこからどう卒業するかが実践的な食事管理です。

数字で厳密に縛り続けることをゴールとせず、必要な時だけ数字を使い、最終的には自分の感覚と生活習慣で安定して調整できる状態を目指すべきです。

  1. 目標に応じて管理の厳しさを変える
    コンテスト前、期限付きで確実に体重や体脂肪を動かしたいとき、こういう場面では厳密に管理する意味があります。一般的な減量、維持期、増量期、長期で続けたい体づくりは、生活に馴染む形で管理するほうが現実的。
  2. 白黒思考を避ける
    「三大栄養素を完璧に守れた日だけ成功」「少しズレたら失敗」とは考えません。三大栄養素まで設定どおりに摂れた日ならベスト。カロリーとたんぱく質をだいたい守れた日ならベター。カロリーを概ね守れた日ならグッド。完璧主義で崩れるより、ある程度の精度で続けるほうが大事という考え方です。
  3. 1日単位で縛りすぎない
    数字管理をすると、1日単位で「今日は失敗した」と考えやすくなります。しかし一般的な減量や維持では、1日単位より数日〜1週間単位で見る柔軟さが大事だと述べています。

外食やアルコールはゼロでなくてもよいが、節度と工夫が必要です。数字管理は有効ですが、一生それに縛られるのは理想ではなく、最終的には空腹感・満腹感・習慣で整えられる状態を目指しましょう。

Level1

カロリー収支

身体を変えるための最大の土台である「カロリー収支」の考え方と、増量・減量の具体的な進め方について。

「ベースライン(維持カロリー)」を知る

計算式(体重×22×運動量など)はあくまで目安です。無意識の運動(NEAT)による個人差が非常に大きいため、「2週間の食事記録」と「毎朝の体重記録」から、実際の維持カロリーを割り出すのが最も確実です。

運動量は活動係数のことで、生活や運動の目安に応じて1.2~2.0程度の係数をかける。

例(体重70㎏でデスクワーク中心の生活)

70×22×1.3=2,002kcal

推定される1日の維持カロリーは約2,000kcalです。

あくまでも目安なので、実際に算出したカロリーで2~3週間継続して、体重の増減から実際の値に調整します。

「増量か?減量か?」の判断基準

初心者や肥満体形の人

最初は食事制限をせず、トレーニングに専念するだけで「体脂肪が減り、筋肉が増える」というボーナス期間が期待できます。

中級者以上

筋肉増量と脂肪燃焼の同時進行は難しくなります。

増量は「体脂肪が少ない状態(男性15%未満、女性23%未満)」からスタートするのがベストです。

適切な増量ペースと減量ペース

減量ペース(筋肉を残す)

1週間に「体重の0.5%〜1.0%」のペースで落とします。

増量ペース(無駄な脂肪をつけない)

筋肉が増えるスピードは遅いため、初心者でも1ヶ月に「体重の1.0〜1.5%」、中・上級者は「0.5%〜1.0%以下」という非常にゆっくりしたペースで進める必要があります。とにかく食べまくる「ダーティバルク」は、無駄な脂肪を増やすだけなので推奨されません。

健康を守る「利用可能エネルギー」

カロリーを極端に削りすぎると、生命維持以外の機能がストップする「相対的エネルギー不足(RED-S)」に陥ります。

常に食べ物のことばかり考えてしまう、気分が落ち込む、性欲減退、女性の無月経などのサインが出た場合は危険です。目標体脂肪率のハードルを下げてでも、直ちにカロリー摂取量を増やす必要があります。

「食事管理の成功の70〜80%は、このカロリー収支で決まる」というほど重要なパートです。

Level2

三大栄養素と食物繊維

「総カロリー」の枠組みの中で、タンパク質・脂質・炭水化物をどのような割合で振り分けるか(マクロ栄養素の設定)について解説されています。

三大栄養素の計算ルールの基本

タンパク質(4kcal/g)

筋肉を作る材料となるため、体重を基準にグラム数(g)で計算します。

脂質(9kcal/g)と炭水化物(4kcal/g)

主にエネルギー源となるため「総カロリーに対する割合(%)」で計算し、残りのカロリー枠を埋めていきます。

三大栄養素の配分

減量時

カロリー不足により筋肉が分解されやすいため、タンパク質を多めに確保し、トレーニング用のエネルギー(炭水化物)を死守します。

タンパク質を体重1kgあたり2.2g〜2.6g、増量時より多く、空腹感対策にもなります。

脂質は総カロリーの15%〜25%炭水化物は残りのカロリーすべてとなります。

絶対防衛ライン

脂質0.5g/kg未満、炭水化物1.0g/kg未満には絶対にしない。これを下回るなら、減量ペースの方を緩めるべきです。

増量時

カロリーが十分に足りているため、筋肉が分解される心配が少なく、減量時ほどタンパク質を必要としません。

タンパク質を体重1kgあたり 1.6g〜2.2g(減量時より少なくて良い)

脂質を総カロリーの 20%〜30%炭水化物は残りのカロリーすべて(細かい比率より、総カロリー確保が最優先)とします。

食物繊維

摂りすぎは腸内環境の悪化や栄養吸収の阻害を招くため、1日の炭水化物摂取量の20%までを上限とします。

種類によってカロリーが異なるため正確な計算は不可能です。すべて炭水化物としてカウントするかすべて除外するか、自分のやり方を決めて一貫して記録し続けることが重要です。

Level3

微量栄養素

ボディメイクやダイエットにおける「微量栄養素(ビタミン・ミネラル)」と「水分補給」の重要性、および具体的な摂取ガイドラインについて。

微量栄養素(ビタミン・ミネラル)の基礎知識

必要な量はミリグラム単位と少ないものの、健康状態、トレーニングのパフォーマンス、筋肉を増やすポテンシャルに影響します。

水溶性ビタミン(B群、C)

汗や尿で排出されるため、毎日の補給が必要。

脂溶性ビタミン(D、A、K、E)

体内に留まるため長期的な不足がなければ問題になりにくい。

減量中の微量栄養素の摂り方

特定の食べ物を避けることよりも、栄養豊富な食べ物を取り入れる意識が重要です。過度な食事制限は栄養不足を招きます。

減量中に不足しやすい5つの栄養素がビタミンD、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄。不足すると代謝の低下や筋力低下に繋がります。

乳製品からカルシウム補給、赤身肉から鉄分補給、日光をよく浴びてビタミンDを生成すると良いでしょう。

水分補給の重要性と摂取量の決め方

体重の2〜3%の水分が失われるだけでパフォーマンスが低下します。水分量の目安を決めるには、以下の2つの方法を組み合わせるのが最適です。

体重ベース

体重23kgあたり1リットル(例:体重70kgなら約3リットル)

尿の色で決める(推奨)

トイレに行くたびに尿の色を確認し、カラーチャートの「1〜3(薄い色)」の範囲に収まるようにします。個人差や環境(汗の量など)が反映されるため、この方法がより実用的です。

まとめると、ベースとなるカロリーや三大栄養素を守った上で、乳製品・赤身肉・野菜・果物をしっかり食事に取り入れ、体重と尿の色を目安に十分な水分を摂るという内容です。

SUPPLEMENT

サプリメントはあくまでも補助食品

ダイエットやボディメイクでサプリメントが注目されますが、本書ではあくまでも補助的な立ち位置として、新商品や人気商品に飛びつかずに科学的根拠と必要性に基づいて判断すべきとしています。

サプリメント中でも有用性に3段階のレベルを設けています。

レベルA

多くの人にとって比較的有効性が高く、研究でも裏付けが強いもの。

マルチビタミン、EPA & DHA、ビタミンD、クレアチンなど。

レベルB

特定条件では役立つ可能性があるが、対象者や状況が限られるもの。

ベータアラニン、シトルリンマレートなど。

レベルC

人気はあっても、実際にはあまり勧めにくいもの。

グルタミン、BCAA、HMBなど。

つまり「有名」「昔から人気」「SNSでよく見る」ではなく、誰に、どんな目的で、どの程度の確率で意味があるかで評価しています。

新商品や話題のサプリにかなり慎重です。研究は簡単に結論が出ず、1本の研究で良い結果が出ても、それが再現されるとは限りません。研究対象者、条件、測定方法、統計処理などで結果はぶれます。サプリ会社の宣伝は先走りやすく、研究の一部だけを都合よく切り取って「テストステロンが増える」「脂肪が燃える」のように大きく宣伝されがちです。

ただし、「必要な栄養が食事で足りていないなら補う」という用途は意味がありますが、
「何かを飲めば筋肉が増える」「脂肪が落ちる」という発想は基本的に危うい、という立場です。

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谷口ゆーい
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文装舎|編集長
読書ブログやコラムを書いています。積読はしない派ですが、なかなか0冊になりません。本棚には心から気に入った本と、装丁が素晴らしい本を残しています。装丁が好きで自分でも製本をするようになりました。
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